kamaitati1106's diary

某大学教員の備忘録など

Scrivenerで数式をうつ。

最近、論文を書くときはScrivenerというアプリを使っています(Figure 1)。

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Figure 1

 

論文執筆におけるこのアプリの良さは、

1. 1つのProjectにおいて、たくさん、かつ階層的にフォルダを作成できるので、Introduction→1st paragraph→topic sentence、というように、一つの論文に集中して、事細かに文章を管理できる。

2. 事細かに分けた文章を、自由自在にMerge & Splitできる。

3. 文章毎に、コメントを挿入可能 (文章ファイルの中には反映されないが、ヘッダーのようなものに反映できるため、メモとして有用)

4. 文章の順序の入れ替えが非常に単純(ドラッグ&ドロップ)。

5. 論文執筆にあたり必要となる資料(先行研究の文献など)を、1つのScrivファイルの中に保存できる。さらに、自由自在に閲覧もできる。

6. (私は利用しないが)画面をSplitできるので、推敲も可能、文献を見ながら文章を打つことも可能。

7. 最終的に.docxにエクスポートできるので、共著者の方々とファイルを共有しやすい。

さらに、Scrivenerの製作者たちは、並行してScappleという素晴らしいmindmapソフトも作成しているので、いずれか統合される…はず。統合されなくても非常に素晴らしいソフトだが。

 

要は、Scrivener=論文に特化した高機能to-doアプリのようなイメージ。リマインダーはもちろんないんだけど。

 

もう言うことなし、Evernoteともうちょっとリンクしてくれたらありがたいな、くらい。

 

が、しかし、Scrivenerにも弱点はある。いや、あった。それが、「数式の打ち込み」である。僕の研究分野はまがいなりにも物理、情報科学も含んでいる。そのため、いくらかは数式を打ち込まなくてはいけない。Scrivenerは物書きのためのアプリで、数式を打ち込むには向いてない、という意見が多数かもしれない。

 

多くの研究者たちは、(僕は知らないが)MultiMarkdownを利用して数式を打ち込めるように工夫したり、MathTypeを利用して数式を打ち込んでいる。MathTypeもいいっちゃいいんだが、有料。かつ、wordにエクスポートしたときに、ただの画像ファイルとして認識されるので、結局同じ数式を1から打ち直さないといけない。残念。

 

ただし、非常にシンプルな解決策が存在する。それをこれから示す。ただ、右クリックするだけだ。

 

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Figure 2

 

TeX方式で数式を打ち込む(Figure 2)。ただし、alignでないとダメなようである。そして、文章全体を選んで右クリック。そして、Figure 3のように選択する。

 

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Figure 3

 

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Figure 4

 

すると、あら不思議。Figure 4のように、数式になってくれている。もちろんエクスポートすれば画像ファイルとしてだが、wordファイルにも数式が反映される。これは素晴らしい。もちろん、逆にTeXコマンドに戻すことも可能。右クリックメニューをよく眺めれば、そのコマンドもあることがわかる。

 

(追記 2013/02/01: 原因はわからないが、大量のTeX数式を変換しようとするとエラーが吐き出される。細かく、1パラグラフずつ分けて変換すれば大丈夫だが…。おそらく、以下の流れがベストか。

1. 1パラグラフ毎に変換して、数式に間違いがないことを確認

2. 全文をMergeして、TeXにコピペ

3. latex2rtfでrtfファイル化

4. docxに変換。

もしくは、3.の段階でPDF化。どちらかがよさそうである)

 

つまり、Scrivener→TeX(ここはコピペしかない)→PDF、という流れが最も無難かな、という気がする。問題はFigureファイルの挿入がめんどいことだが、まあそれくらいは仕方ない。ちなみに、引用文献は前回消化したPapers2を利用すれば、全く苦なくたくさん論文を引用できる。

 

ちなみに、共著者とwordを使ってコメントを共有したい場合は、Scrivener→TeX→latex2rtf→.docx、もしくはScrivenerから直接.docxとなるだろう。latexdiffを使って差分ファイルも作れるので、Scrivener→TeXという流れはかなりアリだと思っている今日このごろ。